感想:モネ 連作の情景 
感想:モネ 連作の情景 

感想:モネ 連作の情景 

 先日、上野の森美術館で、「モネ 連作の情景」展を鑑賞してきました(1月のはじめに書き始めたのですが、しばらく書けずに3月になっていました)。クロード・モネ(仏 1840-1926)は、印象派に属する画家です。彼の『印象・日の出』(1872)は印象派の名前の由来となりました(本展では展示されていません)。

『日の出・印象』(1872)マルモッタン・モネ美術館蔵

 「モネ 連作の情景」展は、印象派以前のモネの作品から、晩年の睡蓮の連作までを、モネに作品と共に辿ることのできる、贅沢な企画展でした。東京展は2024年1月28日まで、大阪展(大阪中之島美術館)は2月10日~5月6日までになってます。土曜日に行きましたが、当日券はそれなりに並んでいたので、オンラインチケットを予め購入していった方がいいかもしれません。

内容

 「第一章 印象派以前のモネ」では、モネの初期の作品をみることができます。モネの作品はいくつかみたことがありましたが、印象派以前の作品をみたのはおそらくはじめてでした。
 伝統的な様式で描かれたものも、明るい色彩でしたので、それは彼の特徴なのか、当時としてはめずらしくなかったのか気になるところです。

『ルーヴル河岸』(1867)デン・ハーグ美術館蔵

 『ルーヴル河岸』(1867)など初来日の絵画がいくつかありました。1872年に近づくにつれ、技法が印象派らしくなっていくのを体験できる面白い章でした。

 「第二章 印象派の画家、モネ」から、印象派としての作品が展示してあります。「第三章 テーマへの集中」から連作を描くモネの姿を垣間見ることができます。連作を通してモネが成しているのは、光の移り変わりを捉えるためとも言われています。影は決して灰色としてのみ表現されるのではなく、時間の移り変わりとともに、周囲の色彩との影響とともに変化します。

 私が面白く感じたのは、同じモチーフの絵でも、様々な技法を試すように、異なった仕方で描かれていたことです。色彩感覚に優れた画家であったのは間違いないのでしょうが、単に絵具を混ぜないで並べる描き方(よくある印刷機の例)をしていたのではなく、微妙なニュアンスを表現するために、様々な技法を考え、実行していたのだと改めて感じることができました。

 反省:鑑賞後すぐにブログを書き始めたのですが、途中で投げ出し、再び手を付けたのが二カ月後でした。記憶も曖昧になっており、メモを頼りにだいたいこんなことを考えていただろうという感じになってしまいました。次からは気を付けようと思います。。。

 最後に、モネの睡蓮に関する、哲学者ドゥルーズの言葉を引用して終わりたいと思います。

反復は一般性ではない。[…]一般性は、どの項も他の項と交換可能であり、他の項に置換しうるという視点を表現している。[…]これとは逆に、わたしたちには、反復は代理されえない〔かけがえのない〕ものに対してのみ必然的で根拠のある行動になるということがよくわかる。行動としての、かつ視点としての反復は、交換不可能な、置換不可能な或る特異性に関わる。[…]反復すること、それは行動することである。[…]反復は内面化されることによって転倒させられるのである。ペギーが言ったように、バスティーユの攻略を記念するあるいは表象=再現前化するのが連盟祭なのではなく、まさにバスティーユ攻略が諸連盟をまえもって祝いかつ反復するのである。モネの最初の睡蓮こそが、他のすべての睡蓮を反復するのである。だからわたしたちは、個別的なものに関する一般性であるかぎりの一般性と、特異なものに関わる普遍性としての反復とを対立したものとみなすのである。

『差異と反復』、財津訳、河出書房新社、2007年、21-22頁。

 引用したのだから、何かを語るべきですが、いつかこれについて何か表現できればいいな、という私の希望を記録するための引用だと考えてくださればと思います。

 

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