*こちらからお申込みいただけます。
■日時・料金・重要事項
・第1回 ホワイトヘッドの思弁哲学とその図式:8/30(土) 13:30-16:40(うち休憩時間10分)
・第2回 ホワイトヘッドの神義論:9/6(土) 13:30-16:40(うち休憩時間10分)
*質疑応答時間確保のため3時間10分(うち休憩時間10分)の講義になっております。
・料金:4,980円(2回分)
・申込締切:8/30(土) 13:00
・アーカイブ配信あり(2週間視聴可能)
・欠席されても安心な読書会です
■短期集中のホワイトヘッド入門講座!
本講座は、アルフレッド・ノース・ホワイトヘッド(1861-1947)の哲学への入門講座です。
2日間(1講座180分×2回分)の短期間で、ホワイトヘッド哲学の専門家がわかりやすく解説します。
ホワイトヘッドの哲学には独自の用語が多く、独学で入門するにとても苦労します。
専門家である私も、学び始めのときは、泣きながらホワイトヘッドのテキストを読解していたことがあります。
彼の哲学の難しさは、実体(伝統的な哲学が採用している概念)ではなく、プロセスを自身の哲学の根底に置いていること、そして、プロセスから宇宙の安定的な秩序形成を論じようとしたことにあります。
実体とは、変化していくものの根底にある、それ自身は変化しないもののことです。例えば近所にある木について考えてみましょう。葉の色を変えたり、葉を落としても、私たちはそれを同じ木あるように思います。
伝統的な哲学は、変化することのない実体を哲学の基礎におき、変化は二次的なもの、派生的なもの、極端な場合には仮象として扱います。
それに対して、ホワイトヘッドは、プロセスを自身の哲学の根本に置きます。プロセスは、前進する変化の単位のような事柄です。
例えば、夏の青々とした木と、冬の寒々とした木とではまったく異なるように、一回一回のプロセスはそれぞれ独自のあり方をしています。
ホワイトヘッドは、それまで二次的なものとみなされていた概念を自身の哲学の根底に置くことで、私たちに馴染みのない新しい語り方をすることになったのです。
さらに、ホワイトヘッド以外のプロセス哲学には変化のみに注目する哲学があるなかで、ホワイトヘッドは、変化のただなかにおいても安定的なあり方を示す秩序を論じようと試みました。プロセスや変化だけが、語られるべきなのではなく、私たちが日々観察する安定的な秩序が、プロセスからいかに生じるのかをホワイトヘッドは論じようとしたのです。
つまり、一回一回のプロセスにおいて、木は独自のあり方をしつつも、やはりそれは同一性を示しているはずなのです。
ホワイトヘッドは、単に片方を肯定しもう片方を否定したのではなく、片方を軸にもう片方をも論じようとした点でより複雑な議論を展開することになりました。
このように、伝統的な哲学とは別の基盤を置いたこと、そして単にプロセスを強調するのではなく、宇宙に存在する秩序を語ろうとしたことで、ホワイトヘッド哲学は相当難しく、理解し難くなっているのです。
本講座は、哲学科ではない学科でのゲストスピーカーの内容がもとになっています。ホワイトヘッドのことをまったく知らない大学生に向けて講義用のレジュメを作成しました。
本講座でも、ホワイトヘッド哲学をはじめから丁寧に解きほぐしていきますので、ホワイトヘッド哲学に挫折したことがある方も、初めて触れる方も是非お気軽にご参加ください。
*別団体になりますが、同講師によるホワイトヘッド『科学と近代世界』読書会も、興味があれば是非ご参加ください。
■ホワイトヘッドの神義論
ホワイトヘッド哲学における神は、現在プロセス神学として、様々な思想家のもとで展開しています。
プロセス神学と聞くと、ホワイトヘッドの難解な哲学をさらに混乱させてしまっているイメージをもっている方もいるかもしれません。
しかし、少なくともプロセス神義論(弁神論)については、ホワイトヘッドの神概念を非常に扱いやすい形で整理し、そしてホワイトヘッドが神を論じる際にもっていた問題意識に沿った解釈を提示しています。
ホワイトヘッドの主著『過程と実在』は、自然神学がテーマの連続講義がもとになっています。
ですので、ホワイトヘッド哲学に完全に入門するのに、神概念は欠かせません。
今回は、プロセス神義論を経由しつつ、ホワイトヘッドの神概念にも迫っていきます!
神義論(弁神論)とは、悪の存在に対して、神を弁護するための議論です。まずは伝統的な考えをみていきましょう。
無神論者は、全知・全能・至善なる神が存在しているのであれば、なぜこの世に悪は存在するのか問いかけるかもしれません。
もし全知・全能・至善なる神が存在するのなら、悪が存在しないようにこの宇宙をつくるはずです。
至善であればこの宇宙を善いものにしようとするし、全知であればどのようにすれば宇宙が善くなるか知っていますし、全能であればそれを完全に成し遂げることができるはずです。
しかし、虐殺や、戦争、大災害など、テレビやSNSを見れば、この世に悪が溢れているのがわかります。
全知・全能・至善なる神を肯定すれば、悪の説明がつかなくなるし、悪の存在を肯定すれば神の説明がつかなくなるように思われます。
このような悪の存在に対して、神を弁護(神の正義を主張)するのが神義論です。
例えば、悪は、神の広い視点からみたら必要な悪なのかもしれません。大災害があったとしても、宇宙全体からみれば悪は全体の善に貢献しているかもしれません。それは神が課した事柄であって、ちっぽけな人間に悪に見えているだけなのかもしれません。
あるいは、悪がない世界は本当に善い世界なのでしょうか。何も障害がなく、思った通りにことが進む世界は人間に成長の機会を与えることはないでしょう。
私たちは、何らかの障害を乗り越えることで成長することができるし、善い行いも障害があるからこそその本領を発揮するとも言えるでしょう。
ここまで単純ではありませんが、このように神義論の多くは、悪を必要悪と考えることで、全知・全能・至善なる神を弁護してきました。
つまり、悪の概念をいじることで、全知・全能・至善なる神を肯定してきました。
これに対してホワイトヘッドは、全知・全能ではない至善なる神を検討し、不必要な悪の存在を認めるという立場をとりました。要するに、悪ではなく、全知・全能・至善なる神の方をいじったのです。
神が全知全能でなければ悪が存在しても仕方ありません。そして、そうなれば、虐殺などの明らかに悪である事柄も、善(神の計画や、人間の成長)のために必要な悪だったんだと言わなくてよくなります。存在しない方がよかった悪、すなわち不必要な悪を認めることができるのです。
しかし、全知全能ではない神とはいかなる神でしょうか。
ホワイトヘッドは神の存在論的証明をしているわけではありません。
また、単に「全知・全能ではない至善なる神」を想定するだけの論点ずらしをしたわけではありません。
新たな宇宙観・神観を一つの体系として論じることで、宇宙と神、そして私たちとの関係を見定めようとしているのです。
本講座は、ホワイトヘッドの神義論に触れたことがない方はもちろん、ホワイトヘッド哲学を勉強したけど神の概念の理解においついていない方、ホワイトヘッドの神義論を少し学んでみたけど、その内容とホワイトヘッド哲学の体系がどのように関係しているのかがわからない方にもおすすめな講座になっております。
ぜひお気軽にご参加ください。
■イベント詳細
〇進め方
・講師が用意したレジュメをもとに進行
・質疑応答の時間あり
・一回3時間10分(うち10分休憩時間)
*質疑応答時間確保のため3時間10分の講義になっております。
〇日時
・第1回:8/30(土)13:30-16:40(休憩時間10分)
・第2回:9/6(土)13:30-16:40(休憩時間10分)
〇料金
・4980円(2回分の料金です)
〇場所
・Zoomを用いたオンラインでの講座
・スマホ・タブレットの場合は事前にアプリのダウンロードが必要
・パソコンでの参加の場合はブラウザから参加可能
・アプリのダウンロード方法がわからない場合、Zoomサポートにてご確認ください。
・講座は録画し、チケット購入者に限り配布(2週間視聴可能)
〇参加にあたって
・理解促進・能動的参加・心理的安全性を重視
・わからないところは気軽に質問できる環境です
■レジュメの目次
〇第一回目:ホワイトヘッドの思弁哲学とその図式
1,ホワイトヘッドを学ぶ前に
2,ホワイトヘッドの生涯と信仰
3,ホワイトヘッドの思弁哲学
4,ホワイトヘッドの哲学体系
5,おわりに
〇第二回目:ホワイトヘッドの神義論―全知・全能ではない神とは何か—
1,伝統的な神義論の概括
2,全知・全能ではない神とはいかなる神か
3,悪に対する神の救済
4,ホワイトヘッド神義論の結論
5,おわりに
*目次の内容は変更する場合があります。
■講師
・西脇祐(中央大学):https://researchmap.jp/nishiwakiyu
・ホワイトヘッド哲学の発展史に関する研究者。最近では、ホワイトヘッドを中心とした20世紀初頭有機体論に関する研究も発表している。
■トアリストン
・公式HP
https://toariston.tokyo/
・ツイッター
https://twitter.com/philotoariston
・スレッズ
https://www.threads.net/@philotoariston
*当方は適格請求書発行業者ではないため、インボイス制度に対応した適格請求書の発行はできかねますので予めご了承ください。