哲学書にあまり触れたことのない方のための読書会です!
【哲学スクール】ト・アリストンの読書会メンバーの多くは、哲学書をあまり読んだことのない初学者です。
わからないこと、気になったこと、その場で考えたこと、理解の確認など、お互いに話しながら、ゆっくりと進行していきます。
真剣な会ではありますが、気軽に参加できる読書会になっています。
途中からのご参加も大歓迎です(初回が2024年9月24日になります)。
以前の読書会のご感想
嬉しいご感想をいただいております!
・感想①
本当にお世話になりました。ゆっくりと、 納得がいくまで解説して頂けたので、理解ができたのと、 まとめながら整理できそのうえでわかっていけたことが大きかったように感じています。特に、後者のことは他の読書会ではあまり感じられない、 当読書会の特長と思います。 主催者の方の柔らかなイメージも哲学と良い意味で、新鮮かつ和やかな雰囲気で会が進んだことも個人的にとても心地良かったです。
・感想②
哲学を考える時思い出すエピソードがある。吉本隆明さんが「 コム・デ・ギャルソン」を着てan・anに出たとき埴谷雄高が「 資本主義のぼったくり商品を着ている」と批判した。 これが正しいかどうかは別にして、 この資本主義の世界で生きていると「ぼったくられる」 ことが数々ある。多分一番のぼったくりは「教育」だと思う。
哲学は「ぼったくるか」と問われたら「ここで一緒に対話したら」 その答えが見つかります。ここに「あなたの本当の価値」 がぼったくられるかどうかを見つけるすべがあるから。
サンデル『これからの「正義」の話をしよう』
本読書会では、アメリカの哲学者、マイケル・サンデル(1953- )の『これからの「正義」の話をしよう』(2009)をゆっくり丁寧に読んでいきます。
本書は非常に読みやすい政治哲学の入門書です。
本書は、具体的な事例を通して、政治哲学の理論を学んでいくスタイルで書かれています。
そのため、哲学にまったく触れたことのない方にも大変おすすめな哲学入門書になっています。
本読書会で目指すことは、
1)なぜある政策には賛同し、他の政策には賛同できないかを論理的に説明できるようになること
2)読書会メンバー同士の議論を通して、柔軟な考えをもてるようになること
3)いくつかの政治哲学の理論を学び、それぞれの特徴を把握することで、相手や自身の考えの根本的な土台を共有できるようになること
4)3)によって、感情的な議論ではなく、建設的な議論をできるようになること
です。
哲学に触れみたい方、
日頃政治に関するニュースを見て疑問に思うことが多い方、
政治について思うところはあるものの、自分の考えを深く把握できていないと感じている方、
「自分を変えれば世界が変わる」という言葉に疑問を感じ、他者との関りのなかで自らの生を考えてみたい方、
是非お気軽にご参加ください。
参加メンバー同士でおしゃべりしながら、これからの「正義」について楽しく考えを巡らせることができれば幸いです。
近現代政治哲学批判
本書は入門書であり、講義での学生とのやりとりが話題になってベストセラーになった本であるために、コミュニタリアンであるサンデルの主張が見えにくくなっています。
また彼が主張する主義がより後の方に出てくることもその一因であるかと思います。
とはいえ、実は第1章で全体の予告をしてくれています。
第1章において、いくつかの事例に対して、彼は三つの正義の類型からそれらを簡単に考察します。そして、その類型の詳しい説明は後の章で行うという形になっているのです。
三つの類型は次のようになっています(小林正弥『サンデルの政治哲学』平凡社, 2010年, pp. 43-44を参照)。
①「福利の最大化」(帰結主義:功利主義)
②「自由の尊重」(義務・権利論:リベラリズム、リバタリアニズム)
③「美徳の促進」(目的論:コミュニタリアニズム)
サンデルの立場は③になります。
本書の構成は、①→②→③の順で政治哲学を検討していくかたちになっています。
さらに単に個々ばらばらに検討していくのではなく、より前の哲学をより後の哲学が批判するという検討の仕方をしています。
したがって、本書は18世紀のイマヌエル・カントから20世紀のジョン・ロールズにいたる近現代の政治哲学(②の立場であり、おそらく多くの政府が採用する立場)に対する批判を背景にしていると言えるでしょう。
つまり彼は、近現代の「われわれの権利を規定する正義の原則は、美徳、あるいは最善の生き方についてのいかなる特定の考えも土台とすべきではない」(サンデル『これからの「正義」の話をしよう』, 鬼澤訳, 早川書房, 2011年, 23頁)という考えに対して、疑問を投げかけているのです。
本書はこのように、善き生と自由を切り離した近現代の政治哲学を学ぶにとどまらず、さらに一歩進んだ政治哲学を学ぶ機会を与えてくれます。
本読書会の中身は参加者の対話に委ねることが多いですが、以上のような俯瞰的な視点を忘れずに進行していきます。
『これからの「正義」の話をしよう』の目次
サンデルの立場は、第7章から徐々に提示されていきます。
第1章 正しいことをする
第2章 最大幸福原理―功利主義
→①の立場
第3章 私は私のものか?―リバタリアニズム(自由至上主義)
→②の立場
第4章 雇われ助っ人
→第3章の立場の批判検討
第5章 重要なのは動機―イマヌエル・カント
→第3章とは別の②の立場
第6章 平等の擁護―ジョン・ロールズ
→サンデルが(おそらく)一番優れていると考えている②の立場
第7章 アファーマティブ・アクションをめぐる論争
→②の立場の批判検討
第8章 誰が何に値するか―アリストテレス
→③の立場。サンデルが論じたい目的論を提示
第9章 たがいに負うものは何か?―忠誠のジレンマ
→サンデルの立場の検討
第10章 正義と共通善
イベント詳細
*テキスト
マイケル・サンデル『これからの「正義」の話をしよう』を読みます。 事前にご購入ください。
なお、頁数の確認は文庫本で行いますが、単行本でのご参加ももちろん可能です。
*チケット購入
・本読書会にはじめてご参加の方は、「割引見学チケット」をご購入ください。
・継続してご参加の方は「講座チケット」をご購入ください。
・読書会開始30分前まで購入可能です。
*開催日程
・9月24日火曜日20時~22時
・10月8日火曜日20時~22時
・10月22日火曜日20時~22時
→月二回、隔週火曜日開催予定です。
*進め方
・参加者は全員読解にご参加いただきます。
・一段落ずつ音読していただき、 どのように解釈するのかみんなで考えていきます。
・音声をオンにできる方のみご参加ください。
・読解の補助として、講師が解説します。
*場所
・Webexを用いたオンラインでの読書会になります。WebexはZoomのようなオンライン・ミーティングツールです。スマホやタブレットでのご参加の場合は事前にアプリのダウンロードをお願い致します。こちらからどうぞ。パソコンでのご参加の場合はダウンロードは必要ありません。
*参加にあったって
・練習の場として、覚えたての知識を気軽に使っていただければ、 と思っております。
・体験ベースの読解も積極的にしていただければと思います。
・うまく論じることができなくても大丈夫です。 練習の場として考えていただければと思います。
・読解にある程度の一貫性をもたせつつも、 多様な読解可能性を保持できるように進んでいく予定です。 ご了承ください。
・自分の主張を無理に他人に押し付けたり、 相手を侮辱する発言をした場合ご退室いただきます。
*その他
・参加者が少なくなった場合など、すべて読み終える前に読書会を終了する場合があります。 ご了承ください。
事前に準備したい方のために
サンデル『これからの「正義」の話をしよう』が非常にわかりやすい入門書であるために、事前の準備は特に必要ないかと思います。
しかし、サンデルが本書で論じている政治哲学を把握したいという場合には、以下の本がおすすめです。
・小林正弥『サンデルの政治哲学 <正義>とは何か』平凡社, 2010年.
←第一講が『これからの「正義」の話をしよう』の素晴らしい要約になっております。
・神島裕子『正義とは何か-現代政治哲学の6つの視点』, 中央公論社, 2018年.
←ロールズにはじまる政治哲学についてより詳しく、専門的に学ぶことができます。非常におすすめです。
*講師
・西脇祐(中央大学):https://researchmap.jp/nishiwakiyu
ホワイトヘッド哲学の発展史に関する研究者。最近では、ホワイトヘッドを中心とした20世紀初頭有機体論に関する研究も発表している。
・ホームページ
https://toariston.tokyo/
・ツイッター
https://twitter.com/philotoariston
・スレッズ
https://www.threads.net/@ philotoariston
*当方は適格請求書発行業者ではないため、インボイス制度に対応した適格請求書の発行はできかねますので予めご了承ください。